石澤敦のメディカルインフォ

認知症各論(1)

アルツハイマー型認知症

(1)アルツハイマー型認知症の病態

Alzheimer Disease (AD)は、認知症の原因疾患の60〜70%を占める最も多い疾患である。
AD の神経病理の特徴(剖検脳における顕微鏡的所見):
① アミロイドβ(Aβ)の沈着⇒老人斑
② タウ蛋白の発現⇒神経原線維変化

※【参考】最近の研究成果に基づき、アミロイド仮説に修正が加えられ、新たなモデル が提唱されている。

(2)アルツハイマー型認知症の臨床症状
(3)アルツハイマー型認知症の画像診断

画像診断総論:変性型認知症における画像診断の進め方

画像診断総論:形態画像のポイント: 「萎縮の分布と局在」
(第3回東京都認知症サポート医等フォローアップ研修テキストから:櫻井圭太)

① 形態診断(頭部 CT、頭部 MRI)

頭部 MRI
頭部MRIは、脳の様々な器質的疾患全般を診断するのに極めて有用な方法であるが、あくまでも“形態診断”である。
認知症関連に有用な情報としては、


  • ① 萎縮がある場合、その部位、広がり、程度を知る。
  • ② 脳室の拡大、その特徴(DESH sign)により正常圧水頭症の存在を確認する。
  • ③ 脳虚血病変(脳梗塞、深部白質慢性虚血変化など)、出血後瘢痕等の部位や広がりを確認することで、血管性認知症の可能性を知る。
  • ④ 慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、神経変性疾患の存在を知る。 (頭部CTでも十分に把握可能な病態も数多く存在する)

頭部 MRI(VSRAD)
(Voxel-based Specific Regional analysis system for Alzheimer`s Disease)

  • アルツハイマー型認知症(AD)で特徴的に認められる海馬傍回近傍の萎縮を検出す る画像統計解析ツール。
    解析結果:Z スコアにより海馬傍回の萎縮の程度を示す目安。
    早期ADと健常高齢者との鑑別における正診率:80%以上
    ただし、アルツハイマー型認知症以外の他の認知症でも海馬傍回の萎縮を認めること があるので、この所見単独だけでアルツハイマー型認知症と確定診断はできず他の所見と併せ、総合的に判断する。

VSRAD advance 2

  • ADを疑うが側頭葉内側部萎縮が軽度である場合、ADとレビー小体型認知症(DLB)を鑑別する指標として「背側脳幹/内側側頭部の萎縮比」を算出する機能。
    その萎縮比が0.2以上の場合はDLBが疑われる(正診率:69.8%)

脳血流検査(SPECT)
(single photon emission computed tomography)

  • ラジオアイソトープを経静脈的に投与し、集積した部位から出てくる放射線を検知し画像化する方法。

認知症における SPECT 検査の意義

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